私は女として夫人のお気持も深く察します。一緒に死んだ女の人の扱われ方に対して、父である人の心の中も察します。生活の安定や平和のために、文学の情熱もかきたてられているはずのとき、一人の作家の死が、その虚無さで人気を煽ったりするのは醜態だと思います。
〔一九四八年七月〕
底本:「宮本百合子全集 第三十巻」新日本出版社
1986(昭和61)年3月20日初版発行
初出:「週刊朝日」
1948(昭和23)年7月25日号
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2007年11月30日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。