僕等が原にゐる時は、
誰かこつそりやつて来る。

僕等がたのしくゐる時は、
誰か森からやつて来る。

誰だかちつともわからない、
どんな姿かわからない。
けれどきつとよ、やつて来る、
僕等がたのしくゐる時は。

桂のなかやくさの上、
僕等と一しよに歌うたふ。
僕等がたのしくゐる時は、
きつと誰だかそばにゐる。

僕等が穴をほる時は、
その穴のなかもぐりこむ。
僕等がおもちやで遊ぶ時、
錫の兵士とならんでる。

僕等が毎晩ねる時は、おやすみよつくときつと言ふ。
そして僕等がねてる時、
おもちやの箱の番してる。

底本:「日本児童文学大系 第二八巻」ほるぷ出版
   1978(昭和53)年11月30日初刷発行
入力:菅野朋子
校正:noriko saito
2011年1月4日作成
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