そこで初めて、人びとはこれが俗に云う髷きりだと云うことを知ったが、それ以来彼の厠は何人も使わなくなった。
これは明治七年三月十日の東京日日新聞に載っていた話であるが、日日子はそれに就いて、このことはいつか浅草金龍山内にもあった。故老の話では四五十年前にも一度あったが、その時は女たちが簪に小さな短冊をつけて、魔よけにしたと云って、その歌を引いてある。
かみきりや姿を見せよ神国のおそれを知らばやくたたらざれ
底本:「伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典」学研M文庫、学習研究社
2003(平成15)年10月22日初版発行
底本の親本:「新怪談集 実話篇」改造社
1938(昭和13)年
入力:Hiroshi_O
校正:noriko saito
2010年10月20日作成
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