一筆啓上仕候。寒気節益御安養可御座、奉大賀候。降而(くだつて)私儀無異議相暮申候。御安慮可遣候。扨別紙ニ認候事ども御直ニ御聞被成候得バ、自然近年中御出軍の時も、よ程御心当ニも相成申べく、何卒たれか長崎の方ニ御遣可成や奉伺候。此頃願上度事ハ古人も在云、国家難ニのぞむの際ニハ必、家宝の甲を分チ、又ハ宝刀をわかちなど致し候事。
何卒御ぼしめしニ相叶あいかない候品、何なり共被遣候得バ、死候時も猶御側ニ在之候(おもひ)之候。何卒御願申上候。
御遣しニ相成候時別紙の通の当所に御達可遣奉願。猶後日之時を期候。恐惶謹言。
寅極月四日
龍馬
尊兄
膝下

底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
   2003(平成15)年12月10日第1刷発行
   2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本手紙の写真のキャプションに、(高知 弘松家文書)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年8月27日作成
2011年6月17日修正
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