春猪どのよ/\。此頃ハあかみちやとおしろいにて、はけぬりこてぬり/\つぶしもし、つまづいたら、よこまちのくハしやのばゞあがついでかけ、こんぺいとふのいがたに一日のあいだ御そふだんもふそふというくらいのことかへ。
をばてきのやんかんそふもこのごろハ、ちとふやり/\と心も定めかねをりハすまいかと思ふぞや。たいてのなり候や、二町目へすてしめてもよかろふのふ。
おまへハ人から一歩もたして、をとこという男ハ皆にげだすによりて、きづかひもなし。又やつくと心もずいぶんたまかなれバ、何もきづかいハせぬ。
けれども、是からさきのしんふわい/\ちりとりににてもかきのけられず、かまでもくわでもはらハれず、ふいぶん/\せいだしてながいをとしををくりなよ。
私ももしも死ななんだらりや、四五年のうちにハかへるかも、露の命ハはかられず。
先御ぶじで、をくらしよ。
正月廿日夜
りよふより
春猪様
足下