私しが土佐に帰りたりときくと、幕吏ゑどやくが大おそれぞ、はやきおもみ申候。四方の浪人らがたずねてきて、どふもおかしい。近日京ニ後藤庄次郎どのおらんと思ひ候。其時ハ伏見の寺田やでやどかり、伏見奉行をおそれさしてやろふとぞんじおり候。
何かさしあげ度候得ども、鳥渡(ちよつと)これなく白がね(金巾)(ママ)ひとき(一匹)さしあげ候。
御めしものニ被成候得バ、ありがたし。かしく。
四月七日
龍馬
乙様

底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
   2003(平成15)年12月10日第1刷発行
   2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本本文の末尾に、(坂本龍馬記念写真帖)とあります。
※底本手紙の写真のキャプションに、(東京 中村鋼子氏蔵)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年8月27日作成
2011年6月17日修正
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