拝啓。
益御安泰奉二大賀一候。然ニ私儀此頃老主人よりよび帰しニ相成候て、国許ヘハ不レ帰、其まゝ長崎ニ於て、兼而召つれ候人数を御あづけ被レ申ことにて、私おして海援隊長と申付、則長崎ニて一局を開キ諸生のセ話致し申候。此頃主人の用物を大坂ニ送り候道にて、備後箱の岬のおきニて紀州明光丸と申船が、私のの船の横に乗掛候て、不レ計も私しの船ハ沈没仕候間、是より又長崎の方へ帰り申候。此度の事ハ紀州ハ何故の勢にや、あまり無礼なる事ニて私の人数及便船かりなど鞆の港にほりあげ、主人の急用ありとて長崎の方へ出帆仕候。
船のものハ申ニ及バず便船かりも皆金も何も
(以下断欠)
伏見宝来橋京橋の回船宿
大浜濤次郎事
取巻抜六
御直披
遠目鏡一つ
添
時計 一面
底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
2003(平成15)年12月10日第1刷発行
2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本手紙の写真のキャプションに、(京都府立総合資料館蔵 京都府京都文化博物館管理)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年7月28日作成
2011年6月17日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。