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ほほづきよ
ひとつ思ひに泣けよかし
女のくちにふくまれて
男ごころのさびしさを
さも忍び音に泣けよかし

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ほんのふとした一言から
人が憎うてならぬぞえ
ほんのその日の出來ごころ
つい張りつめた男氣をとこぎ
しんぞ可愛ゆてならぬぞえ

底本:「萩原朔太郎全集 第三卷」筑摩書房
   1977(昭和52)年5月30日初版第1刷発行
   1986(昭和62)年12月10日補訂版第1刷発行
※〔〕付きの副題は、作品の冒頭をとって、ファイル作成時に加えたものです。
入力:kompass
校正:小林繁雄
2011年6月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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