アリイルスチュアール
一九二七
(房中寒くむなしくて灯は消え月は出でざるに
大なる恐怖の声なして
いま起ちたるはそも何ぞ!……
わが知るものの霊よ
何とてなれは来りしや?)
(君は云へりき わが待たば
君も必ず来らんと……)
(愛しきされど愚かしき
遙けくなれの死しけるを
亡きと生けるはもろ共に
行き交ふことの許されね
いざはやなれはくらやみに
われは愛にぞ行くべかり)
(ゆふべはまことしかるらん
今宵はしかくあらぬなり)
(とは云へなれは何をもて
ひととわれとをさまたぐる
そのひとまことそのむかし
汝がありしごと愛しきに
しかも汝はいま亡きものを!)
(しかも汝とていまは亡し)