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ランダムピックアップ ― 組踊り以前(折口信夫)
折口信夫は、友人の伊波普猷の「組み踊り」研究に、口述筆記役を務めることになりました。長い年月を経て、ようやく執筆に取り掛かろうとした折口は、自身の興味の薄れを感じながらも、組踊りが成立した過程について考察を始めます。沖縄の村々や島々の祭儀には、原始演劇的な要素が色濃く残っており、巫女の仮装を通して神が降臨すると信じられていました。その中で、意識的に演劇として行われるようになったのが、「組み踊り」と「村踊り」です。折口は、組踊りは玉城朝薫の天才的な創造によるものではなく、長い年月をかけて、宮廷と民間の交流の中で育まれた芸能であると主張します。
そして、組踊りのルーツとして、村踊りの影響を深く考察し、特に念仏者の芸能が、万歳や狂言、踊りの要素を組踊りに提供した可能性を指摘します。また、組踊りの名称が、組唄の踊りから来たという説を唱え、組唄が琉球に渡り、小唄踊りへと発展した過程を詳細に解説します。
折口は、組踊りが、神事芸能、念仏、組唄踊り、そして能や歌舞伎などの多様な要素が融合し、複雑な歴史を経て生まれたものであると結論付けます。