あらすじ
社会主義が当たり前となる未来、民主主義は社会民主主義へと姿を変える。倫理もまた、新しい形の個人主義が台頭しつつある。変わりゆく世の中で、われわれはどう生きるべきか。太宰治は、自身の考えを率直に語り、時代への警鐘を鳴らします。
 所謂社会主義の世の中になるのは、それは当り前の事と思わなければならぬ。民主々義とは云っても、それは社会民主々義の事であって、昔の思想と違っている事を知らなければならぬ。倫理に於いても、新しい形の個人主義の擡頭たいとうしているこの現実を直視し、肯定するところにわれらの生き方があるかも知れぬと思案することも必要かと思われる。

底本:「もの思う葦」新潮文庫、新潮社
   1980(昭和55)年9月25日発行
   1998(平成10)年10月15日39刷
入力:蒋龍
校正:土屋隆
2009年4月7日作成
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