「前途のある青年が、何故そんなつまらんことをする」
すると、青年ははじめて夢から醒めたようになって、きょろきょろと四辺を見まわしながら云った。
「それが不思議ですよ、ここまで来ると、このあたり一面に美麗な花が咲いてて、何とも云えない良い匂がするのです、それにそこにはな女がたくさんいて、それが何か唄いながら踊ってたのですが、それが私の方を見て、いっしょに踊らないかと云って招くものですから、ついその気になって、ふらふらと入ったのですよ」
底本:「伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典」学研M文庫、学習研究社
2003(平成15)年10月22日初版発行
底本の親本:「新怪談集 実話篇」改造社
1938(昭和13)年
入力:Hiroshi_O
校正:noriko saito
2010年10月20日作成
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