私がいぜんもつていました、かくなじでかいた烈女伝を、あれをひらがなになほしてゑ入にて、そのゑと申は、本の烈女伝のゑのとふりなり。
誠におもしろし。私がかなになをそふと兼ねてをもいしが、夫を見てやめてしもふたり。夫を(おまへさんになり)おくにへおくりたさにたづね候。けして今時の本やにはなきもの也。故にある女にたのみてかきうつさせより申候。其女と申はげにもめづらしき人、名は御聞しりの人なり。
どうぞ/\たのしみたまへ。その本のうつしたるれいとして、私しがうちでならひよりた、いしずりのかくなじのおりでほん (これはお前さんにあげておまへさんもならいよりた本なり。)夫を御こしなされ度、兄さんまでひきやくに御おくりなされ度候。またまた色のものさし上候へども、夫はおい/\なり。此龍がおにおふさまの御身をかしこみたふとむ所よくよくに思たまへ。
皆火中なり。此よふな文、なきあとにのこるははぢなり。
底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
2003(平成15)年12月10日第1刷発行
2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本本文の末尾に、(「関係文書第一」、坂本直衛旧蔵)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年7月24日作成
2011年6月17日修正
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