努めて考へても、問題に添ふべき纏つた考へは、どんなかたちに於ても浮んで来ない。多少ながら浮んで来るものは、自分に対する自分の要求とでも云ふ風なかたちで淡く残るのみである。それをずつとおしひろめて考へたら或はこの問題に幾分触れるかも知れないといふ気もするが、やはりそれも狭い自分だけの道にのみ入つてしまふのである。

底本:「牧野信一全集第一巻」筑摩書房
   2002(平成14)年8月20日初版第1刷
底本の親本:「新興文学 第二巻第一号(新年特大号)」新興文学社
   1923(大正12)年1月1日
初出:「新興文学 第二巻第一号(新年特大号)」新興文学社
   1923(大正12)年1月1日
※底本編集時に付されたと思われる、表題冒頭の「●」は省きました。
※「十二年文壇に対する要求」と題したアンケートへの、「結局は「自分の道」」との回答です。
入力:宮元淳一
校正:門田裕志
2011年5月26日作成
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