あらすじ
雪解けの風景が美しくも残酷に描かれている作品です。白く輝く蘆の花が咲き乱れる中で、青く冷たい死が忍び寄る様は、どこか哀愁を漂わせます。そこに現れたのは、乱れ髪の大太刀を振るう男。彼の瞳には、何を映し出しているのでしょうか。雪の反射の中で、鉄の鏡が光る光景は、見る者を不思議な世界へと誘います。
ましろき蘆の花噴けば
青き死相を眼にたゝへ
大太刀舞はす乱れ髪

白紙を結ぶすはだしや
死を嘲ける青の隈
雪の反射のなかにして
鉄の鏡をかゝげたり

底本:「新修宮沢賢治全集 第六巻」筑摩書房
   1980(昭和55)年2月15日初版第1刷発行
入力:junk
校正:土屋隆
2011年5月14日作成
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