あらすじ
病に伏せ、苦しんでいる「われ」は、意識が朦朧とする中で、空高く舞い上がり、果てしない宇宙を漂います。そこには、白と黒の積雲が立ち並び、まるで「われ」を誘うように、雨となって崩れ落ちようとしています。
罪はいまやまひにかはり
たよりなくわれは騰りて
野のそらにひとりまどろむ

太虚ひかりてはてしなく
身は水素より軽ければ
また耕さんすべもなし

せめてはかしこ黒と白
立ち並びたる積雲を
雨と崩して堕ちなんを

底本:「新修宮沢賢治全集 第六巻」筑摩書房
   1980(昭和55)年2月15日初版第1刷発行
入力:junk
校正:土屋隆
2011年5月14日作成
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