あらすじ
荒涼とした海岸に、燃え盛る根株から立ち上る夕暮れの煙が、冬の寒空に舞います。その煙は、タンポポの白い綿毛のように、どこかに消えてゆくのでしょうか。丘の上の小さな小屋では、老婆が娘たちに語りかけます。収穫を終えた畑は、これから新たな試練を迎えようとしています。厳しい自然の中で、懸命に生きる人々の姿が目に浮かびます。根株燃すゆふべのけむり
こらつどひかたみに舞ひて
たんぽゝの白き毛をふく
丘の上のスリッパ小屋に
媼ゐてむすめらに云ふ
かくてしも畑みな成りて
あらたなる艱苦ひらくと
了
底本:「新修宮沢賢治全集 第六巻」筑摩書房
1980(昭和55)年2月15日初版第1刷発行
※〔〕付きの表題は、底本編集時におぎなわれたものです。
入力:junk
校正:土屋隆
2011年5月14日作成
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