あらすじ
棕櫚の葉がわずかに震えるような夏の暑い日、湯屋の近くを流れる溝に水が落ちています。そこへ、放蕩無頼の息子である大工が、まるで古きスコットランドの貴族のような風情で帰ってきます。彼の帰還には、いったいどんな秘密が隠されているのでしょうか。
棕梠の葉やゝに痙攣し
陽光横目に過ぐるころ
湯屋には声のほのかにて
どぶ水ほとと落ちたるに
放蕩無頼の息子の大工
このとき古きスコットランドの
貴族風して戻り来れり

底本:「新修宮沢賢治全集 第六巻」筑摩書房
   1980(昭和55)年2月15日初版第1刷発行
※〔〕付きの表題は、底本編集時におぎなわれたものです。
入力:junk
校正:土屋隆
2011年5月14日作成
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