あらすじ
不軽菩薩は、あらゆる人々を敬い、礼を尽くす菩薩の姿を描いた作品です。その菩薩は、あらゆる人の中に仏性を見抜き、その者を尊重し、敬意を払います。軽蔑することなく、すべてのものを平等に愛し、救済しようとします。その菩薩の行動は、私たちに深い感動と、自分自身を見つめ直す機会を与えてくれます。
あらめの衣身にまとひ
城より城をへめぐりつ
上慢四衆の人ごとに
菩薩は礼をなしたまふ

 (われは不軽ぞかれは慢
  こは無明なりしかもあれ
  いましも展く法性と
  菩薩は礼をなし給ふ)

われ汝等を尊敬す
敢て軽賤なさざるは
汝等作仏せん故と
菩薩は礼をなし給ふ

 (こゝにわれなくかれもなし
  たゞ一乗の法界ぞ
  法界をこそ拝すれと
  菩薩は礼をなし給ふ)

底本:「新修宮沢賢治全集 第六巻」筑摩書房
   1980(昭和55)年2月15日初版第1刷発行
入力:junk
校正:土屋隆
2011年5月14日作成
青空文庫作成ファイル:
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