あらすじ
燃え盛る炎の中を、行者が火渡りを敢行します。竜王の名が記された旗が風になびき、葉桜の梢は炎に照らされてまばゆいばかりです。行者は布でひげを縛り、呪文を唱えながら一歩ずつ火の中へ進んでいきます。その様子を、軍帽をかぶった教師が冷めた目でみつめています。紺の旗黄と朱の旗
さうさうと焔はたちて
葉桜の梢まばゆし
布をもてひげをしばりし
行者なほ呪をなしやめず
にくさげに立ちて見まもる
軍帽をかぶれる教師
了
底本:「新修宮沢賢治全集 第六巻」筑摩書房
1980(昭和55)年2月15日初版第1刷発行
入力:junk
校正:土屋隆
2011年5月14日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。