あらすじ
森の中に響き渡る潮騒。その音に誘われて、主人公は深い緑の葉陰に分け入ります。そこには、青い椿の実が輝いていました。南からの風は、波の香りと鳥たちの歌声を運んでくるのでした。
島わにあらき潮騒を
うつつの森のなかに聴き
羊歯の葉しげき下蔭に
青き椿の実をとりぬ

  南の風のくるほしく
  波のいぶきを吹き来れば
  百千鳥 すだきわぶる

三原の山に燃ゆる火の
なかばは雲に鎖されぬ

底本:「新修宮沢賢治全集 第六巻」筑摩書房
   1980(昭和55)年2月15日初版第1刷発行
※〔〕付きの表題は、底本編集時におぎなわれたものです。
入力:junk
校正:土屋隆
2011年5月14日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。