うるはしき都會の窓ぞひらかるる、
みよいまし遠望の海は鳴りいで、
なめいしを皿はすべりて、
さかづきは歩道にこぼれふんすゐす。
こはよき朝のめざめなり、
をとめらのさんたまりやの祈祷なり、
みな少女、
素足あしなみそろへ行く手に、
ちよこれいと銀紙に卷かれ、
くだものは竝木の柵に飾られぬ。
ああ、いづこぞ夢の序樂のぽろねえず、
會社は河岸に涙をひたし、
花店の飾窓つゆにぬれたり、
しばしまたつりがね鳴らむ、
あさまだきにほふ葉影に、
しろじろとかざし泳がせ、
この列をなす少女らあゆむ。
――樂曲風、情景詩――