あらすじ
キリストとカアボネという二人の男の、奇妙で不可解な関係が描かれます。カアボネは、光沢のある貨幣を持つ一方で、キリストは貧弱な貨幣しか持ち合わせていません。カアボネが贈ったフロツクコオトをキリストが最後まで受け取らなかったという出来事は、二人の関係の複雑さを物語っています。物語は、彼らの奇妙な対比を通して、人間の心の深淵を覗き込むような、独特の雰囲気を漂わせています。
 アアルカアボネの貨幣は迚も光沢がよくメダルにしていゝ位だがキリストの貨幣は見られぬ程貧弱で何しろカネと云ふ資格からは一歩も出ていない。

 カアボネがプレツサンとして送つたフロツクコオトをキリストは最後迄突返して已んだと云ふことは有名ながら尤もな話ではないか。
一九三一、八、一一
了

底本:「李箱作品集成」作品社
   2006(平成18)年9月15日第1刷発行
底本の親本:「朝鮮と建築 第十集第八号」朝鮮建築会
   1931(昭和6)年8月
初出:「朝鮮と建築 第十集第八号」朝鮮建築会
   1931(昭和6)年8月
※底本の編者による語注は省略しました。
入力:坂本真一
校正:きゅうり
2019年9月27日作成
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