頬にしぶく氷雨忘れて一時を敗軍の士の心しのびぬ

かなしさは落城のあと冬たけて御所ヶ丸山さびしくそびゆ

武士ものゝふの魂とむらふや音たてゝ枯草山にひたしぶくあめ

とけ殘る雪まだらなる谷あひに炭燒く煙低く流れぬ

底本:「日光浴室 櫻間中庸遺稿集」ボン書店
   1936(昭和11)年7月28日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:Y.S.
校正:富田倫生
2011年9月27日作成
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