あらすじ
記憶は、深く、鮮明に、過去の出来事を刻み込みます。しかし、その記憶は、心の奥底に沈み、触れることのできない存在となってしまいます。時が流れ、季節は移り変わり、過去は過去として、静かに残り続けるのです。おまへの皮膚にはとどかず
はるかに高い所を
わたつた
あの鋭い動きさへ
速かに把へたのに
精神よ
季節は錆だ
新しい時へ
歩みを移すこともできず
灰は灰に
石は石に還つた
しかし
それらの冷やかさを
身をもつて感じてゐることは
もつと不幸だつた
了
底本:「増補 森川義信詩集」国文社
1991(平成3)年1月10日初版発行
入力:坂本真一
校正:フクポー
2018年4月26日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。