三善清行の「意見封事」に、延喜頃の人民が課役を避けんが為に出家して、天下の民三分の二は皆禿首というの状態となり、しかも彼らは貌も沙門の如く、心は屠児に似たりとある。「延喜式」にも濫僧・屠者と並べている。仏徒の仮面を被った賤者は甚だ多く、真の修行者と所謂濫僧との関係は、少くも外形上間髪を容れぬものであった。委細は他日発表してみたい。

底本:「被差別部落とは何か」河出書房新社
   2008(平成20)年2月29日初版発行
底本の親本:「民族と歴史 第二巻第一号 特殊部落研究」
   1919(大正8)年7月
初出:「民族と歴史 第二巻第一号 特殊部落研究」
   1919(大正8)年7月
※表題は底本では、「沙門と屠児(余白録)」となっています。
入力:川山隆
校正:門田裕志
2013年1月11日作成
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