あらすじ
小さな女の子の泣き声が、とめどなく響き渡ります。熱でぐったりとした体、消化不良の苦しみ、気分の悪さ、どれを見ても、聞いても、耐えがたいのです。泣き声はうるさいけれど、それは子供が自分の体の不調を訴えているだけなのです。しかし、大人たちはそれを理解しようとせず、ただ静かにさせようとするばかりです。とうとう、泣き疲れて眠ってしまった女の子。古畳の上で、何にも敷かずに、何にも着ずに、眠りについてしまいます。この場合の人間の泣声は決して同情に価しない
あれはちいちゃい四つの女の子の泣声だが可愛そうにも考えられない
ただうるさい
騒々しい
泣かないでくれればいい
もう沢山だ
心の中でいくら
願ってみたって何にもならぬ
子供は少し熱があって
からだがだるくって
消化不良のせいでもあるし
気分が悪いんだ、
どれを見てもきいてもいまいましいのだ、
よっぽどよっぽど
気分が変らない限り
泣くより外に仕様も見つからないのだ、
泣くのはうるさい
だがそれは子供がからだの工合を
悪くしているから訴えるのだ、
からだをなおしてやらずに
どなったってしようあるか
ああとうとうねちゃった、
泣きつかれて
転んで泣いたまんま
古畳みの上へ
何にも敷かずに、何にも着ずに、
だだをこねながらねむっちまった、
了
底本:「今野大力作品集」新日本出版社
1995(平成7)年6月30日初版
入力:坂本真一
校正:雪森
2015年3月8日作成
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