あらすじ
黄昏時、街には煙が立ちこめ、劇場のクラリネットの音色が響き渡ります。その音色は、街の喧騒と一つになり、夕暮れの美しい旋律を奏でます。一人それを静かに聞きながら、過去を懐かしむ気持ちと切ない想いに心を揺さぶられるのです。
街々にけむりさまよう
秋夕べここもかしこも
黄昏れて見分けもつかず
劇場のクラリネットの
高く低く或は長く短く
囃立てる巷の声に相和して
一つなる夕べの曲を
今日もまた
ひとりし聞けばそのかみの日の
なつかしまれつ涙ぐむ
了

底本:「今野大力作品集」新日本出版社
   1995(平成7)年6月30日初版
初出:「文芸通報」
   1921(大正10)年12月
入力:坂本真一
校正:雪森
2015年5月24日作成
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