おきょうを わすれないように、こぞうさんは みちみち よんで いきました。
キミョ
ムリョ
ジュノ
ライ
ムリョ
ジュノ
ライ
すると なたねばたけの なかに うさぎが いて、
「こぼうず あおぼうず。」
と よびました。
「なんだい。」
「あそんで おいきよ。」
そこで、こぞうさんは うさぎと あそびました。しばらく すると、
「やっ しまった。おきょうを わすれちゃった。」
と こぞうさんが さけびました。
すると うさぎは、
「そんなら おきょうの かわりに、
むこうの ほそみち
ぼたんが さいた
ぼたんが さいた
と おうたいよ。」
と おしえました。
こぞうさんは だんかへ いきました。そして、うさぎの おしえて くれたように、ほとけさまの まえで、
むこうの ほそみち
ぼたんが さいた
さいた さいた
ぼたんが さいた
ぼたんが さいた
さいた さいた
ぼたんが さいた
と かわいい こえで うたいました。
きいて いた ひとびとは びっくり して 目を ぱちくり させました。それから くすくす わらいだしました。こんな かわいい おきょうは きいた ことが ありません。
そこで、ごほうじが すむと、だんかの ごしゅじんは すました かおで、
「はい、ごくろうさま。」
と、おまんじゅうを こぞうさんに あげました。
「ごちそうさま。」
と こぞうさんは おまんじゅうを いただいて たもとに いれました。
こぞうさんは、かえりに その おまんじゅうを、さっきの うさぎに わけて やる ことを わすれませんでした。