あらすじ
祖国への愛と希望に満ちた、力強い言葉が心を揺さぶる詩です。絶望の淵に立たされたとしても、その言葉にこそ救いを見出すことができるという、作者の熱い思いが伝わってきます。厳しい現実の中でも、祖国への揺るぎない信念と、未来への希望を歌い上げる、力強くも美しい詩です。
 疑ひまどふけふこのごろ、國運を思ひて、心病みぬるけふこのごろ、なれこそは、杖なれ、より木なれ、あゝ、大なるかな、忠なるかな、自由なるかな、露西亞の言葉よ。汝なかりせば、今の故國のさまをみて、たれかのぞみを絶たざらむ。しかも、大なる國民にあらずして、かゝる言葉をもたむこと、夢にも思ひえせざるなり。

底本:「上田敏全訳詩集」岩波文庫、岩波書店
   1962(昭和37)年12月16日第1刷発行
   2010(平成22)年4月21日第38刷改版発行
初出:「明星 三ノ二」
   1902(明治35)年8月
入力:川山隆
校正:岡村和彦
2013年1月9日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。