あらすじ
画を描くことに心を砕く作者は、思いがけず筆が走り、一瞬にして絵が完成します。しかし、出来上がった絵を見て、作者は複雑な感情にさいなまれます。その絵は、作者の心の奥底に潜む、隠された思いを映し出しているかのようでした。やがて、絵は燃やされてしまいます。しかし、作者の心は、その炎の中で真実を確かめるように震えています。
思はずも筆はしり
忽ちに画(ゑ)は成りぬ。
この時に涙ぞくだる。われながら
芸の力に泣きぬるか。

きと見れば、あさましや、
をののきに眼(め)ぞ眩(くら)む。
むくつけき斑(まだら)の獣(けもの)尾を曳きて
面(おも)には君をゑがきたり。

やがて画(ゑ)は炉の中(うち)に
燃えながら且つ泣きぬ。
ああされど、偽らざりき、わが心
思ふはげにも然(さ)なりける。
了

底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:フクポー
2018年8月28日作成
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