あらすじ
真夏の昼、そよ風が吹き抜ける中で、作者は自然の息吹を感じ、金糸雀のさえずりに耳を傾けます。夢から覚めたばかりの静かな心に、紫陽花の花が美しく映り、作者は永遠に続くような心地よい時間を過ごします。この瞬間の美しさを詩に刻み、詩人としての喜びを感じているのです。
黒檀(こくだん)のみどり葉末(はずえ)に、
そよ風ながう滑(すべ)りて、
自然(しぜん)の魂塊(たましひ)藍(あゐ)に
薫(くゆ)りとぶ真夏(まなつ)の昼(ひる)。
金糸雀(かなりや)にうまゐ醒(さ)めて、
夢の世に追ひわびたる、
やわらぎの霊(れい)の華(はな)を
いま紫陽花(あぢさゐ)にみとめつ。
昨夜(よべ)詩(うた)に寝(い)ね足らぬ
瞳(ひとみ)細(ほそ)ういと細(ほそ)う、
わが世永久(とは)にかゝらばと、
おもひ入る、あゝ夢心地。

この刹那(せちな)のたましひを
黄金(おうこん)の龕(づし)にひめて、
ひと日だにいつき得なば、
あゝ我ぞ詩のやさ男神(をがみ)。
了

底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:フクポー
2018年6月27日作成
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